本ワークショップについて


21世紀は感染症の時代と言われて久しい。人類は新興感染症のパンデミックや、家畜、野生動物からヒトに感染する新型ウイルスの進化に脅かされています。これまで感染症は“理論疫学”分野で活発に研究され、国の疫病対策に多大な貢献をしてきました。しかし、近年流行している感染症の多くは、昆虫媒介性であったり、人獣共通であったりという側面を持っています。高度に発展した人の文明は気候を変動させ、人口爆発に伴う都市化は一昔前では考えられなかった動植物や昆虫とヒトとの接触をもたらし、予想しなかった感染症の流行を助長させています。この様な感染症の流行メカニズムを理解するためには、媒介者となる動物の生態や、寄生者の生活環により結ばれる宿主群集の特性を理解し、その知見を疫学分野にフィードバックする必要があります。一方で、疫学的知見は寄生者の感染動態の理解につながり、動植物の感染症について深い洞察をもたらします。今まさに生態学と疫学を融合した感染症科学の枠組みが必要とされています。

 

本ワークショップではこの様な国内外の現状を受けて、特に、昆虫・動物と人のインターフェイスにある感染症を研究対象としている研究者をお招きし、分野横断的な研究の議論を行う事を目的としています。私達は、この様な研究領域を"Ecological Epidemiology"、略して「えこえぴ」と名付け、日本でも積極的にこの新しい境界領域分野を展開していこうと考えています。

 


「えこえぴ」メンバーが手掛けるウェブアプリケーションやワークショップ

11月15日 第13回生物数学の理論とその応用@京都大学数理解析研究所

ミニシンポジウム「えこえぴモデルの展開」

 

3月14日~18日 第64回日本生態学会大会@早稲田大学

シンポジウム「Ecological Epidemiology:Eco-Epi modeling and data analysis」

 

※ウェブ上にバーチャル生態系を構築し、複数のユーザーがこの生態系に対して一定の操作を許容する仕組みを取り入れたウェブアプリケーションは年内の公開を予定しております。